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  • 2019.04.17

30億円過大役員報酬 2019/4/17

平成31(2019)年4月16日付の日経新聞にて、原発事故に伴う除染作業を清水建設から下請け受注したいわき市の土木工事会社が仙台国税局の税務調査を受け、会長に支給した3年間の役員報酬額約30億円が過大として指摘されたとの報道がありました。

 

過大役員報酬とは、法人税法の規定で定められており、同業他社の役員報酬の水準や、会社への貢献度合いを勘案し、一定額を超える部分は法人税の計算上、損金性を否認するものです。
よって、ベンチマークとなる同業他社の役員報酬額や、その役員会社への貢献度合いをどう算定するかにより、適正な役員報酬額の上限値が変わるという、否認額の算定においてグレーな部分が残る制度です。
本件課税においても、納税者側は課税を不服として仙台国税不服審判所に審査請求していると報道されています。
課税された会社は、上場企業ではないので詳細な財務データを入手することはできませんが、否認された会長以外の役員報酬も含めると3年間で約76億円と報道されていますので、本件課税を取り消すことができる同業他社データや貢献度合いを測るデータを提示するのは難しいと思います。
むしろ、不服審判所が適正な役員報酬額の上限値を提示した場合、他の役員も過大役員報酬として指摘される可能性すらあります。

 

そのほかにも、本件課税がマスコミに報道されたこと意味についても検討する必要があります。
本来、任意調査である一般的な税務調査により得られた情報は、公務員の守秘義務の対象となりますので、国税局が公表することはありませんし、その情報がオープンになることもありません。
例外として、査察部による強制調査の場合は、刑事事件となり、起訴されますので、その情報はオープンになり、マスコミはその情報を入手することが可能です。
本件課税については、任意調査であるにも関わらず、各報道機関が一斉に報道していることから、社会的な関心が高い課税案件であると判断されたものと思います。
このような任意調査にも関わらず報道されるケースは、上場企業でも移転価格課税やタックスヘイブン課税、建設会社の使途不明金課税が行われた場合などに多くみられます。
本件課税については、任意調査であることから、役員報酬76億円に対する源泉税約38億円は適正に納税していると推察できます。よって、悪質な所得隠しというケースではありません。
にもかかわらず、このような報道がされることの意味を考えると、以下についての問題提起があるのだと思います。

 

・この会社の利益の原資が国民の税金(復興特別税で国民全員が負担している)であること
・大熊町の国直轄除染事業が総額500億円超で清水建設がすべて受注(JV受注含む)していること
・下請け会社に10%超のマージンが発生していること自体は企業の経済活動(人材派遣活動)としては合法ビジネスであり、平成時代には、類似のビジネスを行っている企業が多数存在すること。
・税金を原資とした事業で、超富裕層を発生させる昭和的なシステムを令和の時代もこの国は引き継ぐのか
・もし、75億円の役員報酬のうち、20~30億円くらい福島市に寄付していた場合には、どう報道されるか

 

課税の問題というよりも、この国の在り方を考えさせられる報道であったように思います。

 

税務調査でご相談のある方は、御茶ノ水の大向税務会計事務所までお問い合わせください。