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  • 2018.10.15

平成30(2018)年分年末調整について

今年も年末調整の準備に取りかかる時節となってきました。今年は、税制改正の影響で例年よりも提出書類が一つ増え、記載も複雑となります。

 

<増える書類>
給与所得者の配偶者控除等申告書

<増える理由と影響>
これまで、配偶者控除は年収が103万未満の妻であれば、夫の所得に関係なく、年末調整で38万円所得控除してくれるという制度でした。(従前の配偶者特別控除制度についは簡略化のため省きます。)
それが、サラリーマンの夫の今年の年末調整からパートの妻の年間所得に応じ、以下の区分で配偶者控除の額が変わることとなりました。

 

サラリーマンの夫所得:配偶者控除額
900万円以下 → 38万円
950万円以下 → 26万円
1,000万円以下 → 13万円
1,000万円超 → なし

 

さらに、パートの妻の年間所得に応じても以下のように5万ごとの区分で配偶者控除の額は減額されます。

 

例:サラリーマンの夫の所得が900万円以下の場合
パート妻の所得 : 配偶者控除額
90万円以下 →  36万円
95万円以下 →  31万円
100万円以下 → 26万円
105万円以下 → 21万円
110万以下 → 16万円
115万以下 → 11万円
120万以下 → 6万円
123万以下 → 3万円
123万超 → なし

 

<今年の年末調整への影響>
従来の配偶者の所得要件(額面で103万円以下)が85万円(額面で150万円)で38万円の満額控除ができることになりました。ただし、38万円の満額控除に釣られて、150万円までパート収入を得た場合、社会保険の配偶者要件(130万円)を満たさず、社会保険の扶養対象から外れることがあります。
その場合、妻自身で国民年金、国民健康保険を支払うことになり、年間で年16,340円×12ヶ月と、健康保険10万円(所得の10%弱が目安)キャッシュアウトとなります。
税制改正に釣られて妻がうっかり150万円まで働くと、妻の年金と健康保険が自腹となり、年間キャッシュアウト(29万6,080円)が家計に直撃しますので、注意が必要です。
また、気づいた方もいらっしゃると思いますが、上記の夫と妻の所得要件は、あくまでも所得であり、額面とは異なります。
「所得金額= 額面収入額 - 所得控除額」ですので注意が必要です。
所得控除額は、配偶者控除等申告書の裏面に記載がありますが、どれだけの方が適正に計算して年末調整時に提出できるか疑問が残ります。
さらに、所得金額は、今年の12月末まで働いた所得金額をご自身で見積もって計算する必要があるため、年末ボーナスが多かった場合などには、ご自身で見積もった「所得金額」と実際の「所得金額」がずれる可能性も大いにあります。

 

<所感>
年末調整を含む源泉徴収制度は、申告納税制度を原則とする日本において、税金の計算を簡便にし、自動的に徴収する制度とすることで、国が税金の徴収を広く、確実、簡便に行うことができる制度だったはずです。
それを納税者自身で自身と配偶者の所得計算(それも見積りベース)で行わせ、ミスがあれば役人が指摘し、修正させるという二度手間な制度に改悪されました。
さらに、女性の社会進出を妨げる最大要因である社会保険の配偶者制度との整合性は取らないままの税制改正となっています。
最近の消費税の軽減税率の議論や事業承継税制の制度設計をみていても、財務省官僚の劣化なのか、自民党議員の権限が強くなっている影響による調整の結果なのかわかりませんが、多方面の意見に忖度した結果の無理筋な税制改正の結果のように思います。
税制改正を閣議決定する前に、まず国のあり方、方向性を決めていただき、その大局観に基づいた税制を、余計な省庁の意見を忖度せずに財務省主導で設計してほしいものです。