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退職年金(企業年金・確定拠出給付)を一括して受領した場合の所得区分

企業を退職し、退職金のほかに企業年金を受給されている方もいらっしゃると思います。退職金は、全額受領した年の退職所得となりますが、企業年金については、企業によりますが、年金もしくは一時金で受け取るかを選ぶことができます。
企業年金(確定拠出給付)を一括して受領した場合、受領の仕方によって所得区分が下記の通りとなることにご注意ください。

 

1. 退職後年金給付以前に全額を受領した場合:退職所得(受給日の属する年分)

2.退職後年金給付以前に一部を受領した場合:一時所得

3.年金支給後に全額を受領した場合:退職所得(退職した年分)

4.退職後年金給付以前に一部を受領し、年金受給後に全額を受領した場合:一時所得

 

■退職所得(平成25年4月1日現在)
退職所得の金額は、次のように計算します。
(収入金額(源泉徴収される前の金額)-退職所得控除額※)×1/2=退職所得の金額

 

※退職所得控除額の計算
・勤続年数が20年以下の場合
40万円×勤続年数(80万円に満たない場合には80万円)
(例)勤続年数7年5ヶ月、退職金300万円の場合
40万円×8年(1年未満切上)=320万円
退職所得金額:(300-320万円)×1/2=0(マイナスにはなりません)

 

・勤続年数が20年超の場合
800万円+70万円×(勤続年数-20年)
(例)勤続年数30年、退職金2,000万円の場合
800万円+70万円×(30-20年)=1,500万円

 

 

退職所得は、原則として、他の所得と分離して所得税額を計算します。
退職手当等の支払の際に「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出した場合、勤務先が所得税額を計算し、その退職手当等の支払の際、正規の所得税の額が源泉徴収されるため、原則として確定申告は必要ありません。
「退職所得の受給に関する申告書」の提出をしなかった場合、退職手当等の支払金額の20%が源泉徴収されますが、退職所得の受給者本人が確定申告を行うことにより所得税額の精算がされます。

 

 

■一時所得
一時所得の金額は、次のとおりです。

一時所得金額=総収入金額-収入を得るために支出した金額(注)-特別控除額(最高50万円)
(注)その収入を生じた行為をするため、又は、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限ります。

上記計算式で求めた金額の1/2に相当する金額を給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算します(総合課税)。

 

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