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農林水産業活性化税制の廃止

令和3(2021)年3月末をもって、商業・サービス業・農林水産業活性化税制が廃止されます。

本税制で漁業者の漁網(器具備品30万円以上)の購入費の30%を特別償却費を計上することができるため、漁網の購入計画とその予実管理に利用でき、さらに節税対策に利用できる一石二鳥の使い勝手の良い制度でした。

漁業組合と税理士が協力して当期の網の購入計画を策定し、予実管理することで利用できる漁業の現場に合った税制でしたが残念ながら今年の3月で廃止されることになりました。

令和3(2021)年4月以降は、本税制は中小企業投資促進税に一本化されることになります。この中小企業投資促進税制では、所轄の役所に経営力向上計画を提出し、認定を得て初めて特別償却費30%を計上できます。漁業を所轄していない中小企業庁の担当者に計画書を提出し、認定を得なければいけないという制度となりました。
中小企業の経営力の向上を建前としながら、計画書の策定という形式面だけを重視した経営力の向上には向かない経済産業省らしい税制優遇措置となっています。
経済産業省主導の特別償却の要件となっている経営力向上計画は、その計画書の策定と認定される過程が漁業会計の実務現場に向かないため、今後、漁網の購入計画に伴う特別償却を引き続き適用するかどうか検討し直さなければなりません。
経営計画書の認定手続きが柔軟化されるという発表もありますので、適用指針が公表され次第、適用の可否について検討します。
漁業者のように年ごとに課税所得が変動するような業種は、課税所得の平準化措置が、経営力強化のためには必要不可欠ですので、特別償却のような課税の繰延べ措置であれば、現場の判断で役所の認定なしで適用できるような制度設計が望ましいと思います。

 

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