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HOYA200億円申告漏れ-移転価格

HOYAが海外子会社との取引を巡って東京国税局の税務調査を受け、移転価格税制に基づき5年間で約200億円の申告漏れを指摘されていたことが26日わかった。
税務上の赤字があり、地方税や過少申告加算税を含めた追徴税額は約33億円。
HOYAが同日、更正処分の通知を受けたと発表した。同社は、「当社の主張と東京国税局の見解は明らかに相違がある」とし、課税処分を不服として異議を申し立てる方針という。
同社によると、指摘を受けたのは2007年3月期から11年3月期までの東南アジア子会社との取引。エレクトロニクス製品を開発、製造していた子会社とHOYA本体との取引価格が妥当でなく、本体の所得を子会社に移転して日本国内での納税額が過少になっていたと指摘されたもうようだ。
移転価格税制は、取引を通じて海外子会社に利益を移したとみなされた場合に親会社に追徴課税する制度。
処分を不服として企業が異議を申し立てるケースも目立つ。
【日本経済新聞 2013年6月27日朝刊】

 

 

 製造拠点を海外に移す動きが増えています。
一般的に、一旦移転価格課税を受けてしまうと、自国と相手国双方の税務当局をコントロールして初めて双方の当局が納得がいく取引価格が成立する世界ですから、その二重課税を排除するためには相当時間がかかり、日本と進出先の両国間の税務当局が数年に渡って争う事例は少なくありません。
移転価格税制の考え方は、工場などの海外進出に伴い、日本の技術が海外に流失した際には、日本の税務当局は、技術提供・ノウハウの対価として“ロイヤリティー”を取るべき、というスタンスで税収を確保したいというものです。国内ではなにもせずに海外で生産・販売したとしても、日本の技術を海外に持っていくということであるから、その売上の何%かは、日本の貢献なのだから、何%を受け取るべきである、と考えるわけです。
これまで、税務当局では取引価格が小さい中小企業には、どちらかというとあまり細かな移転価格は行ってきませんでしたが、企業の海外進出が法律に基づく支援策等でこれまで以上に活発になり、企業所得の海外への流出が進めば当然厳しい目を向けてくるでしょう。
それこそ、取引高が10億円未満でも移転価格調査の対象になっていている、という話です。海外支援と一口に言っても、国際税務や移転価格の設定等、関連する課題をクリアできなければ、せっかくの海外進出も水の泡となります。移転価格に関する税務のロジックなどは本が教えることはできても、海外進出に伴う実務的な対応については、経験に基づく専門家によるアドバイスが必要不可欠です。
資金力に限りのある中小企業の場合、まずは商品・サービス等の販促拡大が優先され、日本の税務当局又は進出国の税務当局による移転価格課税に伴う二重課税に代表される税務上のトラブルを防ぐためのリスク対策はどうしても二の次になってしまいます。
取引価格ひとつ決めるにも、大手コンサルティングファームに依頼すると1千万円近く費用がかかります。大企業ならともかく、費用対効果を考えると、中小企業には到底無理な話で、それよりも、より簡素で未然に移転価格に関する税務調査を予防するというレベルでのサマリーであれば、中小企業でも十分に導入が考えられます。そういった実態に即したアドバイスや指導を提供しています。

移転価格税制をめぐる諸問題は、大企業ならば二重課税の問題も十分なリスクヘッジを行うことでクリアできますが、中小企業の海外進出では、事業が軌道に乗った局面において移転価格税制等の国際税務をめぐるトラブルが大きな経営上のリスクとなります。池袋の大向税務会計事務所では、数多くの経験を活かして、移転価格課税による経営上のリスクが顕在化しないように中小企業を支援しています。

 

 

国際税務の中でも、この移転価格税制を熟知する専門家は極めて少ないのが現状です。この移転価格の分野に精通する専門家は、国税OBの方々を含めて、独立開業している税理士では恐らく10名程度ではないかと思われます。相手国との交渉には英語が必須で、税務と語学力、それにコミュニケーション能力が備わっていなければなりませんから、自ずと数は限られてきます。池袋の大向税務会計事務所代表の大向武彦は、世界最大級のプロフェッショナルサービスファームであるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)で、移転価格コンサルティングを中心とした国際税務に5年間従事してきた経験を海外進出をしている・する企業支援で活かしています。

 

 

 

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