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  • 2014.09.17
  • 国際税務
  • 税務調査

多国籍企業の軽課税国への所得移転防止のための指針公表

2014年9月16日、経済協力開発機構(OECD)は、多国籍企業の課税逃れを防ぐための国際的な指針を発表しました。

 

これまで、多国籍企業がオランダやアイルランド、スイス、シンガポール、香港等の軽課税国に重要な機能(無形資産や工場移管等)を移転し、グループ全体としての税負担を軽減するスキームが、株主利益の最大化を名目に、大手会計事務所のコンサル業務の一環として米国を中心に行われてきました。
近年、英国において、スターバックスの低い税負担が議会上で問題となるなどしたほか、米国でもグーグルやアップルが移転価格を利用して、米国ではなく軽課税国に所得移転を行うスキームで米国での納税額を少くしていることが議会で問題視されました。
このような状況の中、OECDはこのような所得移転による課税逃れを「税源浸食と利益移転(BEPS)」と呼び、国際的な対策の検討を行っていました。

 

今回OECDが取りまとめた内容は、多国籍企業にグループ内取引の報告書の提出を義務付けるとするものであり、手法や、対象企業等の詳細なルールは半年後をめどに決められることとなっているようです。
グループ内取引の報告書の詳細な内容や、適用対象となる法人については、今後のOECDの作業部会での議論を受け、日本の税務当局の対応を待つことになりますが、このようなグループ内取引の報告書の提出が義務付けられれば、企業の事務負担が確実に重くなることとなります。

 

これまでも移転価格文書化の義務がある国では、すでに移転価格文書の作成が行われており、日本の企業でもその国に所在する子会社が行っている国外関連取引についての移転価格文書は作成されていました。
2009年に中国が移転価格の同時文書化規定を導入した際にも、日系企業の経理担当者や国際会計事務所は相当な事務負担となりましたが、今回のOECDが発表したグループ内取引の報告書の作成については、日本の親会社のグループ内取引の報告も必要となることから、相当な事務負担が予想されます。
また、これまでに海外子会社で作成した文書化との整合性を図る必要もあることから、過去の移転価格文書のレビューも含め、相当の時間と労力が必要となります。
海外子会社にこのような事務負担が発生させる(グループ内報告書の作成、提出を行う)ことは、企業の税務リスク対応上も好ましくないこと、中堅企業の海外進出の足かせにならないような措置が取られるべきこと、検討すべき事項は多いですが、いずれにしても、今後のOECD作業部会での議論の内容、日本の税務当局の対応が注目されます。

 

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