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最低賃金引上げ 2019/7/31

令和元(2019)年7月31日、中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は、2019年度の全国の最低賃金の目安を27円引き上げて時給901円にする方針を決めました
今回の引上げにより東京と神奈川は初めて時給1,000円を超えることとなります。
東京:1,013
神奈川:1,011

 

この方針を受け、政府(厚生労働省)は、”骨太に沿った目安”として、「格差拡大に一定の歯止めがかかった(富田珠代総合労働局長)」として評価しています。
最低賃金の引き上げが労働市場に与える影響は、労働市場の状況によって異なります。
たとえば、「完全競争市場」の状況であれば、労働者の賃金は需要と供給のバランスで決まるため、最低賃金が需要と供給の均衡点より高くなると、失業が発生します。
今の日本の中小企業の市場状況(一部の上場企業も含む)がまさにその状態です。
使用者が労働者を生産性よりも低い賃金で雇っているような「不完全競争市場」の状況ですと、最低賃金が引き上げられても、労働者の賃金はもともと低く抑えられていたので影響は出ません。
これは、一部のGAFAに代表されるような大手企業の市場状況が該当します。
よって、日本では今回の最低賃金の値上げが実施されれば、理論上は中小企業の経営が成り立たず、失業率の増加につながることとなります。
しかしながら、中小企業の経営者も経営努力なしで倒産するわけにもいきませんから、生産を上げられない以上、従業員との関係を雇用関係から外注関係(業務請負契約)に切り替えることで会社を守らざるを得ない経営環境となります。

 

経営に関するご相談がある方は、御茶ノ水(神田小川町)の大向税務会計事務所までお問い合わせください。

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