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所得隠し芸人記者会見 2019/10/23

令和元(2019)年10月23日夜、チュートリアルの徳井氏が記者会見を開き、今回の税務調査での顛末について説明しました。それによると、平成30(2018)年までの7年間で約12,000万円の法人税の申告漏れを東京国税局に指摘され、このうち平成24(2012)年から平成27(2015)年の約2,000万円は仮装・隠蔽を伴う所得隠しと認定されたとのことです。
一方で、平成28(2016)年から平成30(2018)年の3年間の無申告期間の1億円(こちらの方が悪質)については、仮装・隠蔽を伴わない単純無申告として処理されたようです。

 

ここで問題となるのは、今回はなぜ査察調査による刑事罰の対象ではないのか、ということです。
直近3年間で1億円の脱漏所得があれば、刑事罰の対象となってもおかしくないですし、実際に同水準の脱漏所得金額で査察調査により不正の行為として事実認定され、告発された脱税者は数多くいます。

 

今回、記者会見を開き、申告漏れの内容や経緯、心情(「とんでもなくルーズによる無申告など」)もオープンな情報となってしまったので、今回の芸人のケースが「無申告であれば査察は動かず、刑事罰の対象にならないので、申告しない方が得」という悪しき前例になる可能性があります。

 

国税犯則法では、単純無申告のような秩序犯の場合も査察の対象であり、「単純無申告税(申告書不提出罪)」で1年以下の懲役又は50万円以下の罰金という規定があります。
この規定が軽すぎるため、平成23(2011)年の税制改正で不正の行為を行わなくても「故意に納税申告書を法廷申告期限までに提出しないことによって税を免れた者」は、ほ脱(脱税)犯として処罰できる規定が設けられています。
この場合の法定刑は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金となっています。

 

今回のケースでは、任意の税務調査は調査は終了していますが、全国放送のテレビで「悪しき前例」が何度も報道されていますので、このあと、査察が刑事事件として取り上げる可能性もゼロではない、と思います。

 

秋は税務調査のシーズンです。
税務署から調査の連絡があった方、現在税務調査に対応中の方、御茶ノ水(神田小川町)の大向税務会計事務所までお問い合わせください。

 

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