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米国の税制改正動向と日本への影響

4月28日、バイデン米政権が個人富裕層の増税を財源に育児や教育を支援し、格差の是正をめざす「米国家族計画」を発表を行った。

10年間で160兆円の増収増を見込んでおり、その主な内容は次のとおりとなっている。

 

・ 個人所得税の最高税率:                      37% → 39.6%

・ 株式などのキャピタルゲイン税率:     20% → 39.6%(累進税率の適用)

・ 富裕層や企業への税務調査の徹底:     10年間で74兆円の増収増

・ 連邦法人税率:                                           21% → 28%

・ 多国籍企業の海外収益に現行の2倍の21%を課税

・ 大企業の会計利益に対し最低15%のミニマム課税の導入

 

これらの増税案に対して野党の反発は強く、実現には困難が予想されている。

 

米国の株価はこれらの増税案を受けて一旦下げに入ったが、4月30日現在は落ち着きを取り戻しているとのことである。

上記の増税案のうち、企業に対する増税が実現するかどうかは経済界からの反発が強いため不明だが、富裕層に対する増税はある程度実現するであろう。

 

しかし、富裕層に対する増税が実現した場合でも企業への増税案が実現できないようであれば、10年間で160兆円規模の増税規模では米国の株価に与える影響は限定的なもので収まるであろう。

 

米国が上記の富裕層に対する増税を実現できた場合、日本政府は米国に追従して富裕者への増税、株式・不動産のキャピタルゲインの増税を行うことが予想される。

その場合、日本の株式・不動産市場が実態以上の価格で推移していることから、日本の株式・不動産市場は米国以上の下げ圧力に晒されることになることが予想されるため、今年の秋又は来年の秋のタイミングでの日本の税制改正動向から目が離せない。

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