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令和4年査察の概要

令和5(2023)年6月14日付で国税庁が令和4年度の査察の概要を公表しています。
令和4年度の告発件数は103件で、脱税総額は100億円です。
コロナ禍の令和3年度よりも、告発件数、脱税総額は増加していますが、1件当たりの脱税額は97百万円で小型案件が多い印象を受けます。
正直な感想をいえば、コロナ禍の助成金(厚生労働省管轄、経済産業省管轄)の不正受給を査察チームが効率的に当たった方が、脱税総額の100億円を超える国庫金の回収が期待できるように思います。

 

脱税の手法として公表されている案件は以下の通りです。

消費税の不正還付案件:
①輸出物品販売場での架空仕入れ、架空輸出は免税売上

②パワーストーンを利用した架空課税仕入れ
(スキーム指南者も告発)

 

競艇の予想屋さんの無申告案件:
WEBサイト上での予想で高額収入があったが、無申告

仮想通貨外国法人案件:
①仮想通貨の売却益を圧縮するために外国法人に対して架空経費
②仮想通貨の決済を外国法人名義にすることで売却益の無申告

 

相続税の現預金隠匿:
現金を複数個所に隠匿して無申告

トレーディングカード案件:
カード小売店(全国展開)による、カードの架空仕入れ

 

サラリーマン脱税指南案件:
SNSを利用して給与所得者を加入して事業所得の架空損失と損益通算することによる不正還付             (不正還付申告を請け負った脱税指南役を告発) 

 

横領案件:
大手繊維会社の従業員が下請け業者からのバックマージンを親族名義のペーパーカンパニー口座に入金させて無申告

 

FX案件:
執行猶予期間中に、FXの利益を無申告(他人名義で取引)とし、実刑14か月。
前回の反省を生かさず、さらに、巧妙な手段で所得を逃れようとしたことと、2回連続FXで脱税するくらい稼げていることが特徴。
実刑判決がなければ、加算税、罰金を考慮しても、無申告のほうが得する(ペナルティ以上に稼げる)と判断するタイプ。

過去3年の科目別の告発件数をみると、所得税(個人)で10件程度、消費税案件で15件程度、告発件数が増えています。
法人税の件数はほぼ横ばいですので、脱税額自体は増えていない傾向です。

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