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奨学金の代理返還制度

近年、優秀な学生を採用するために奨学金の代理返還制度がある企業が増えています。

 

奨学金の代理返還制度とは、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)から貸与された奨学金(第一種奨学金・第二種奨学金)を受けていた従業員に代わって、企業が代理返還できる制度です。

 

令和3(2021)年までは企業側がこの代理返還を行った場合でも、従業員に対する給与課税の対象となっており、その分、所得税、住民税、社会保険が増額され手取りが減る結果となり、従業員にとってはメリットの少ない制度でした。

 

ところが、令和3(2021)年4月以降は給与課税しないこととなり、かつ企業側も損金算入できることとなり、制度を活用するメリットが学生側、企業側の双方にとって増大しました。

 

No.2588 学資に充てるための費用を支出したとき|国税庁 (nta.go.jp)

 

これまでは奨学金の返済に苦しめられていた経験を持つ親世代(氷河期世代)は、自分の子供への奨学金の利用を敬遠していた方も多いと思いますが、これからは、この代理返還制度がある企業に就職することにより、実質返済免除となるメリットが出てきますので奨学金の利用を選択するご家庭も出てくると思います。

 

現時点で、奨学金の返還支援制度がある企業の一覧(日本学生支援機構HP)は下記リンクをご覧ください。
 

企業の奨学金返還支援(代理返還)制度 | JASSO

 

この制度の経済的な効果としては、知名度のない企業が優秀な学生を確保するため、学生の借金を肩代わりし、採用コストとして経済的に負担することになります。
この制度を導入しなくても優秀な学生が確保できる知名度のある大手企業は、現時点で積極的にこの制度を導入するメリットは少ないかもしれません。

 

学生の保護者の立場からすると、大手企業もこの制度を標準規則として導入してくれれば、より奨学金の利用を選択しやすくなるので、今後の大手企業の動向を注視していきたいと思います。

 

資金繰り、税金のご相談は、御茶ノ水の大向税務会計事務所までお問い合わせください。

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