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遺言書に従わない遺産分割

「父が、公正証書遺言を遺して亡くなりました。遺言書の内容は、全財産を二男に与える(包括遺贈)というものでしたが、相続人全員で遺産分割協議を行い、母が1/2、長男が1/4、二男が1/4取得しました。この場合、母と長男に税金はかかりますか?」
という質問を受けました。

 

今回のご相談の内容では、二男から母、長男への贈与税の課税関係は生じません。
母、長男、二男は、遺産分割協議で合意した内容の相続財産について、相続税が発生します。

 

遺言書があるから絶対にそれに従わなければならないのでは?と考えて、遺産分割協議書の作成を行わないで母や長男に相続財産を渡してしまうと、いったん二男が相続した財産を、母と長男に贈与するという課税関係になり、相続税のあとにまた贈与税が発生します。

 

相続人間で遺産分割協議をすることができるのであれば、遺言書と異なった分割をすることは可能です。遺言書は絶対ではありません。
遺言書と異なる遺産分割を行う場合には、必ず遺産分割協議書を作成してください。

 

◆包括遺贈
相続させる財産を特定せずに、遺言によって亡くなった人(遺贈者、渡す人)の財産の全部または一部を包括的に遺贈することを包括遺贈といいます。
包括遺贈を受けた人(もらう人)は、包括受遺者といいます。

 

<包括遺贈の具体例>
・財産の30%を長女に与える
・全財産を長男に与える
・財産の70%を配偶者、20%を長男、10%を長女に与える。
 →割合を指示して財産を処分することは指定相続分といいます。

 

包括遺贈を受けた者(もらう人)は、取得する財産が具体的に決まっていないため、遺産分割協議に参加することになります。
今回の質問の場合、相続人全員で遺言書の内容と異なる遺産分割協議を行い、母が1/2、長男が1/4、二男が1/4取得したということは、二男が包括遺贈を事実上放棄したということになります。

 

◆特定遺贈
特定遺贈とは、「東京都千代田区区所在の土地300㎡を△△さんに与える。」というように、遺産のうち特定の目的物を指示して行う遺贈のことです。
遺贈は、遺贈者(渡す人)が一方的に行う行為なので、この遺贈を承認するか放棄するかは受遺者(もらう人)の自由です。

 

相続についてご相談のあるかたは、御茶ノ水の大向税務会計事務所までお問い合わせください。

 

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