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過去の重加算税の賦課決定を取り消せるか?

過去の重加算税の賦課決定処分が、マスコミ報道等により公開されて、事業上の問題となった場合において、その賦課決定処分を取り消すことができるかどうかについて検討を行います。
課税処分をめぐる訴訟には、「処分の取り消しの訴え」や、「無効等確認の訴え」などいくつかの類型があります。
一般的に重加算税の賦課決定処分を争うとなると、「処分取り消しの訴え」により、取消しを求めていくこととなります。
しかし、出訴期間(裁決があったことを知った日の翌日から6月)を過ぎてしまった場合には、もはや取消しを求めることができなくなります。
国税不服審判所の審査請求に対する裁決を得るためには、原則として、重加算税の通知を受けた日の翌日から2月以内に原処分を行った税務署長に対して異議申し立て(通則法の改正後は再調査)する必要があることから、課税処分取り消しのための実質的な出訴期間は2月となります。
では、重加算税賦課決定処分の通知を受けてから2月以上経過した場合に、マスコミ報道等による事業上の問題となった場合、その賦課決定処分を取り消すことができるでしょうか。
その場合は、「処分取り消しの訴え」ではなく、「無効等確認の訴え」により、課税処分が無効であることを主張して争っていくことになります。
ただし、気をつけなければならないのは、課税処分が無効であると認められるためには、一般に課税処分の違法性が「重大かつ明白」でなければならないとされていることです。
つまり、税務調査官との見解の相違レベルではなく、何人の判断でも明らかに同一の結論になるような場合に限り、無効であると認められるため、「処分の取り消しの訴え」よりもハードルの高い訴訟となります。
しかしながら、訴訟のハードルの高さはともかく、マスコミ報道等により、事業の根幹が毀損されようとしている場合には、対処方法の一つとして、弁護士も含めて訴訟提起の要件、費用対効果について検討する価値があります。

 

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