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  • 2021.06.22
  • 税務調査

令和2年度 査察の概要

国税庁は6月17日付で令和2年度の査察の概要を公表した。

 

令和2年度はコロナ感染症の影響を受け、着手件数は111件(前年度150件)と減少している。

告発件数も同様に83件(前年116件)と減少しているが、告発率は73.5%で過去5年の最高水準となった。

うち、国際事案の告発件数は27件(前年度25件)であり例年と同水準で推移している。

 

脱税額は、令和2年度の総額が90.5億円(前年110.9億円)であり、過去5年ではじめて100億円を下回っている。

告発された1件あたりの脱税額(加算税を含む)の平均値は8,300万円(前年8,000万円)となっており、過去5年間と同水準の1億円を下回る脱税額の水準で推移している。

 

告発の多かった業種は、不動産業26件、建設業15件、クラブ・バーが4件となった。例年と変わらない顔ぶれであるが、人材派遣業が令和2年度にはランクインされていないことと、過去3年不動の1位であった建設業を抜いて不動産業が1位となったことに令和2年度の特徴がある。また、令和元年は下水道管調査が5件で初ランクインされていたが、令和2年度はそれに代わる新しい脱税業種への着手がなかった。

 

脱税のスキームとしては特に目新しい事案は公表されていないが、令和2年中の判決として、暗号資産事案が全国初の有罪判決が出されている。また法人税法違反ほう助の再犯者に対して、懲役10月の実刑判決(脱税ほう助の執行猶予期間中の犯行)がだされている。

 

査察の概要が公表されるたびに感じるのだが、日本は脱税に対する刑事罰が軽すぎる。脱税するほうが得であると経済合理性の判断で脱税行為を行う者が増えている。脱税した資金を投資に回して、罰金以上の利回りを得ことができる経済状況とここ何十年に渡る政治不信に伴う将来不安がその背景にあると推測しているが、現行の刑事罰の制度設計のままでは申告納税制度が成り立たなくなりつつあると危惧している。経済合理性の判断で脱税を選択することがないように制度設計するべきだろう。

 

 

 

 

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