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最低賃金1,500円以上に 全労連が算出

令和3(2021)年5月31日付朝日新聞では、「25歳の若者が人間らしく暮らすためには、最低賃金1,500円以上が必要だと全労連が算出した」と報じています。
この調査は、水戸、長野、岡山、那覇の一人暮らしの若者の生活実態や持ち物の数量を調べることで月に必要とする生活費を推計し、下記のとおり生活に必要な時給を算出しています。

一人暮らしの若者が必要とする月給25万前後(額面) ÷ 労働時間150時間 = 1,666円

この結果を受けて、全労連は地方は大都市に比べて、住居費は安いが自動車などの交通費が上回る傾向にあるとし、「全国一律の最低賃金」の設定を求めているとのこと。

まず、最低賃金は生活コストの積み上げで考えるのではなく、市場価格から算出されなければなりません。なぜならば、生活コストの積み上げで最低賃金の設定を行うという共産主義的な経済政策を資本主義経済の枠組みの中で行うと、そのひずみは経済の器である企業体によることになり、企業はリストラ又は倒産することに繋がり、その結果、労働者の失業率があがるからです。これは、現在の韓国経済が現在進行形で実証しています。
また、全労連は、地方と大都市圏の生活費の地域差があまり大きくないので全国同一賃金が必要とする分析結果を提示していますが、これは、分析手法の誤りを指摘する以前のレベルのミスリードであり、地方と大都市の双方に生活した経験がある人であれば、実感として地方と大都市圏での生活費が同じということに関して全く共感できないでしょう。
賃上げが必要という主張は必要であるし理解できますが、その前提条件として、日本経済の内需拡大政策を支援し、企業が値上げできる環境にしてからでないと、失業率が上がってしまうことになり、労働者にとっても不利益となります。
小泉改革以降、直接雇用を減らし人件費を削減することでグローバルな競争力を保っている日本企業が今後成長していくためには、一律の賃上げではなく、地域、都市の差や能力差で区分した平等ではない賃金体系が必要です。最低賃金のアップは内需の成長の結果又は物価上昇の結果として行われるべきです。

 

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