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税制改正大綱

令和4(2022)年12月16日に決定された自民公明党の税制改正大綱では、防衛費増税が急きょ決定され国民の拒絶反応が強く出たものとなりました。

防衛費については、今後国会において議論が尽くされることを期待します。以下では他の主要な改正項目を説明します。

 

◆高所得者への課税強化

令和7(2025)年以降に実施予定、3.3億円以上の所得を22.5%税率で課税するように調整

➡ 給与所得2,000~3,000万円の方が40%の税率なので、働かないで所得を得るほうが優遇されるという状況は不変。

 

◆相続時精算課税の使い勝手拡充・教育資金贈与、結婚・子育て資金の一括贈与の期限延長

相続時精算課税についても基礎控除110万円を導入し、贈与資産が災害で被害を受けた場合の調整項目を入れることで、高齢者世代から子育て世代への財産の早期移転を図ります。

➡ 現行の税・社会保険の国民負担率を考えると、世帯年収2,000万円で子供2人に充分な教育環境(私立、塾など)が限界、3人は厳しい状況。まして世帯年収1,000万円では子供に充分な教育環境を準備することが難しい。

➡ 現役世代は子育て資金よりも国に優先的に税金を支払うシステムとなっているため、子供に教育を受けさせるには、祖父母からの非課税贈与財産を孫の教育資金にしましょうという歪んだ政策の拡充、延長。

 

◆暦年贈与の相続財産への持戻し期間の3年から7年

相続税の節税のためには、コツコツ子供や孫に暦年贈与することが有効です。亡くなる前3年に贈与した財産については、相続財産にカウントされていましたが、改正後はその期間を7年間とします。

➡ 7年間分の通帳の動き、贈与の事実確認するのは税務署も大変な作業ですが、その行政コストを考慮しても、なんとか早期に高齢者の財産を現役世代に移管させることで消費喚起を期待。

 

◆中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制

中小企業のための優遇税制(法人税の特別控除又は特別償却)について、対象資産からコインランドリー業と暗号資産マイニング業に供する資産を除外します。

➡ 節税目的でコインランドリー投資が流行った結果、街中にコインランドリーができてしまい、非生産的な経済効果政策を行ってしまったことの反省と暗号資産という徴税がうまくできていない分野に対する税制優措置の撤廃。

 

◆消費税インボイス制度の移行手続き緩和措置

・売上高1,000万円未満の免税事業者が課税事業者になった場合には、売上にかかる消費税額の20%を納税することが可能に(令和8(2026)年9月までの期間)

・売上高1億円以下の会社であれば、1万円未満の支払はインボイスがなくても控除可能(令和11(2029)年9月まで)

・免税事業者がインボイス事業者となることを選択するための期限が今年の3月31日までであった期限を撤廃など

➡ インボイス制度の導入は、システム会社各社も対応中であり後に引けない状況。軽減税率の導入に伴って複雑となった消費税の計算がインボイスの期限付き特例計算の導入でより複雑に。

➡ これで会社の番号は、マイナンバー、インボイス番号、社会保険番号、労働保険番号、税務署の整理番号、etaxのID、地方税eLtaxのIDなど役所の数以上に付与されるという管理業務上おそまつな結果に。

 

◆防衛費増税

法人税に対して4~4.5%の付加税、所得税に対して1%付加税、たばこ1本に対して3円の値上げを令和6(2024)年以降に実施

➡ 米国に対する朝貢外交、半導体事業など米国と経済協力することで、中ロに経済的に対抗できる日米体制となるか、国民(日米双方)の疲弊が先か。

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