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令和元年度査察の概要

令和2(2020)年6月11日に令和元年度の査察の概要が公表されました。

■着手・処理・告発件数、告発率の状況(全国)

年度 着手件数 処理件数(a) 告発件数(b) 告発率(b/a)
平成22年度 196 216 156 72.2%
平成23年度 195 189 117 61.9%
平成24年度 190 191 129 67.5%
平成25年度 185 185 118 63.8%
平成26年度 194 180 112 62.2%
平成27年度 189 181 115 63.5%
平成28年度 178 193 132 68.4%
平成29年度 174 163 113 69.3%
平成30年度 166 182 121 66.5%
令和元年度 150 165 116 70.3%

R1査察着手・処理・告発件数、告発率の状況

■着手・処理・告発件数、告発率の状況(東京国税局管轄内)

年度 着手件数 処理件数(a) 告発件数(b) 告発率(b/a)
平成22年度 62 70 50 71.4%
平成23年度 70 70 42 60.0%
平成24年度 69 65 45 69.2%
平成25年度 70 68 43 63.2%
平成26年度 71 66 42 63.6%
平成27年度 71 68 43 63.2%
平成28年度 57 66 41 62.1%
平成29年度 63 60 37 61.7%
平成30年度 51 58 35 60.3%
令和元年度 52 58 37 63.8%

 

R1査察着手・処理・告発件数、告発率の状況 - コピー

■脱税額の状況
令和元年度(平成31年4月1日~令和2年3月31日)に処理された査察事案に係る脱税額は総額119億円(対前年▲20億)、そのうち告発分は92億円(対前年▲19億)。告発された事案1件当たりの脱税額は、8,000万円(東京国税局管轄は、8,100万円)でした。
昨年は東京局内の一件当たり脱税額が1億円を超えていたので、年々一件当たりが小ぶりの案件が多くなっています。(過去5年で脱税額が最も小ぶりな年でした。)
着手、告発件数は、例年並みですが、一件当たり脱税額が小ぶりであったため、全体としては例年より査察により追徴した脱税額が少ない事業年度となりました。
令和2年度はコロナ影響により、査察により追徴できる脱税額が少ない事業年度となりそうです。
税務調査(とくに査察官)は在宅ワークも難しいでしょうし、コロナ禍での税務行政の在り方を検討しないとこの国の財政が心配になります。

■告発の多かった業種

R1査察着手・処理・告発件数、告発率の状況2

今年も例年通り、建設業、不動産業、人材派遣業がトップ3となっていますが、次点が下水道管調査となった点に特徴がありました。
老朽化する下水道管に対して地方公共団体が入札により業者を指定して税金を投入しているのですが、地元の業者に発注する地方公共団体の慣行にも問題があるように思います。
国民の税金が海外のコンドミニアムとそれらを斡旋する信託銀行の手数料になってしまっている現実がそこにはあります。

税務署の事務年度は7月から6月ですが、査察は4月から3月であるため、毎年この時期に前年度分の概要が発表されます。
査察調査は、通常の税務調査とは異なり、悪質な脱税者に対して入り、懲役刑等の刑罰を科すことを目的に調査が進められます。
毎年繰り返しますが、脱税は、犯罪です。
上記からわかるとおり、東京国税局管内では、1週間に1件以上の割合で査察調査が行われ、査察が入ると(東京地検特捜部へ)立件される確率は約60~70%です。立件されるとほぼ100%有罪となります。
令和元年度中に一審判決が言い渡された件数は124件で、すべてに有罪判決が出されました。実刑判決は5名であり、最も重いものは懲役9年(他の犯罪との併合事件)、査察単独事件ですと懲役10月でした。
令和2事業年度に関しては、日本はコロナ禍にあり税収も期待できず、財政支出だけが戦後最大になる見通しです。
財務省、とくに税務行政に携わる皆様を応援しております。今年12月の税制改正大綱の在り方でこの国の未来の姿が見えてきそうです。

 

税務調査、査察調査で対応に苦慮されている方、御茶ノ水の大向税務会計事務所までお気軽にお問い合わせください。

 

 

 

 

 

 

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