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株式譲渡損の繰越-70歳以上の方等の国民健康保険自己負担割合

確定申告で株式譲渡損の繰越について相談が多かったため、注意点を挙げさせていただきます。
特定口座を開設している場合には確定申告が不要ですが、株式譲渡損がある場合には、確定申告をすることによって平成25年以降還付申告となる可能性があります。
しかし、70歳以上で国民健康保険に加入されている方と後期高齢者で医療費の自己負担割合が1割の人は注意が必要です。
自己負担割合が1割の方が、株式譲渡の申告をすると譲渡価額が収入に加算され、自己負担額が3割となる可能性があります。

まず簡単に保険料の算定方法から。算定方法には、2ステップあります。
■第1ステップ
収入から経費・控除を差し引いた手取(所得)金額が145万円以上かどうか?
145万未満:1割負担
145万以上:第2ステップへ

■第2ステップ
次に、収入(経費・控除を差し引く前)で判断。
75歳以上の者が同一世帯に1人の場合:収入が383万円未満→申請→1割負担
75歳以上の者が同一世帯に2人以上の場合:収入が520万円未満→1割負担
第2ステップに該当しなければ3割負担。

<具体例>
① 年金:250万、株の譲渡価額:500万、取得価額等:455万
年金:250万-120万(年金控除額)=130万
譲渡:500万-455万=45万
年金+譲渡-基礎控除(住民税は33万)=142万<145万→1割負担

② 年金:250万、譲渡価額:500万、取得得価額等:450万
年金:250万-120万=130万
譲渡:500万-450万=50万
年金+譲渡-基礎控除=147万>145万→第2ステップへ

75歳以上1人:630万>383万→3割負担
75歳以上2人:630万>520万→3割負担

第2ステップは、必要経費が少ないために所得が多い人を救済するのが目的で、言いかえると、必要経費が多い人を救済しないという考えです。
詳しく知りたい方は、池袋の大向税務会計事務所までお気軽にご相談ください。

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