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消費税の不正還付

最近の脱税事件の判決をみていると、消費税の不正還付案件が多いようです。
注目度の高いものでは、「保険の窓口」の案件がありましたが、類似の案件が続々地裁に上がってきています。
おそらく、東京局管轄で2年前くらいに重点的に消費税不正還付に関する強制調査が入ったのだと思われます。
自動販売機の設置による消費税の還付スキーム(注1)が税制改正により使えなくなったのが平成22年ですので、その後、同スキームを使用していた納税者を平成23年、平成24年中に重点調査対象として所轄税務署が動き、悪質かつ、金額の大きい案件が査察に上がり、今の段階で判決という時間軸でしょうか。

 

注1)自動販売機の設置による消費税の還付スキーム
マンションの建設や購入の際に、消費税課税事業者届を提出して課税事業者となることで以下の金額を還付申告するスキームです。
【自動販売機による課税収入に係る消費税額(数千円) - マンション購入・建設の課税仕入れに係る消費税額(数千万円) = 還付消費税額(▲数千万円)】

 

この消費税の還付スキームは、上記した通り、平成22年税制改正により利用できなくなりましたが、 その後も、税制改正の不備(課税事業者を選択して3年目にマンションを購入して還付申告すれば還付可能)をついて還付申告をクライアントに進めている税理士もいるようです。
正直に言って、そのようなことを安易に進める税理士は信用してはいけません。
そのスキームにより消費税の還付申告を行うには、その還付申告に「隠ぺい・仮装」がないことを反証するのに相当な労力とリスクが伴います。
つまり、課税事業者の選択をしてから3年目にマンションの購入、建設を行った税務目的以外の明確な経済合理性がなければ、このスキームを使用してはいけないのです。
今後、消費税が10%に上がって、このスキームによる節税策にも、さらに当局の厳しい目が向けられることになります。
マンション購入、建設に係る消費税の還付金額(数千万円)程度で、その後の生活(任意調査 → 強制調査 → 告発 → 裁判 → 罰金 → マスコミ報道 → 社会的制裁)に多大な影響与えるような税務リスクはとってはいけません。

 

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