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移転価格税制 事前確認と個別照会

平成28年度税制改正による「移転価格文書化制度」について、平成29(2017)7月から文書化に関する「個別照会」の相談窓口が国税局に設置されたとのことです。
これまでも移転価格課税リスクを軽減するための制度としては、事前確認制度(APA)が設けられていましたが、事前確認を行う為には、移転価格調査と同様の手間と時間、コストがかかりました。(1件あたり2年程度の時間とそれに伴う専門家コスト)
そのため、国外関連取引の大きな日系大企業や外資系企業は、APAを利用して移転価格課税リスクを軽減していましたが、中堅企業にとっては、簡単に利用できるものではありませんでした。
今回の「個別照会」は、回答が口頭であることや、移転価格を保証する性質のものではないため、移転価格課税リスクの軽減という点では、あまり意味を為さない(当局に情報提供するのみ)ですが、文書化義務のある中堅企業(国外関連取引50億円以上)にとって、低コストで移転価格文書を作成しておくという点においては、有効活用できるものと思います。

 
なお、一般的に移転価格課税リスク軽減のための手法は次の上から順に効果的となります。
1. 二国間事前確認制度(バイAPA)の利用
2. 一国での事前確認制度(ユニAPA)の利用
3. 個別照会制度と併せたプライシングポリシーの構築、文書化
4. 個別照会制度を利用しないプライシングポリシーの構築、文書化

 

これらを国外関連取引の種類、金額、相手国の制度等を踏まえたうえで費用対効果の観点からリスク軽減手法を選択していくこととなります。

 

移転価格のことでご相談のある方は、お気軽に御茶ノ水の大向税務会計事務所までご連絡ください。

 

 

 

 

 

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