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近年の国際課税の動向について

グローバル企業は、株主利益の最大化を目的として、税負担を最小化することを目的とした行動を選択することがあります。アップルやスターバックスに代表される欧米系企業が、大胆な租税回避行為を行っており、国際的な問題となっています。
一方で、国としても、法人税率を低くし、さらに企業に対し優遇税制を整備することで、外資系企業の誘致を推進する経済政策を行っています。
これは、アイルランドやシンガポール等の低税率国だけでなく、日本も同様です。

 

しかしながら、近年、行き過ぎた課税逃れに対する対策として、過去の税優遇に対し追徴課税を行う流れになってきています。
平成28(2016)年830日には、欧州委員会が2003年から2014年にアップルがアイルランドから受けていた税優遇措置を違法と判断し、15千億円弱を追徴課税するように指示をしたとの報道があります。

 

また、タイ投資委員会(BOI)が推奨していた法人税優遇措置が違法であるとするタイ最高裁判決が確定し、10年以上に渡って適用していた税優遇措置に対し、追徴課税を行うこととなります。
この判決により、ミネベアは15億円の追徴税額を負担することとなりました。
タイ国の歳入局が本判決に従い、他のタイ進出企業に対し追徴課税を行うことが危惧されています。
その対象は100社以上と言われています。

 

行き過ぎた課税逃れは確かに問題ですが、過去の各国の法律に従って行った行った申告に対して、このようなやり方で追徴課税する行為は、納税の予測可能性を著しく阻害し、多国籍企業の経済活動を停滞させるのみならず、新たな国際間の二重課税が発生することとなります。
将来に向けた課税逃れ対策はもっと議論されるべきですが、過去の違法性のない課税逃れに対して追徴課税を行う現在の流れは、国家間の争いの種になり、政治的にしか決着できない問題となる可能性が高いため、中国あたりもこの流れに乗ってこないか懸念しているところです。

 

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