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令和7年度の租税滞納状況-新規発生滞納の半分は消費税 2026/8/27

国税庁は令和8(2026)年8月27日、「令和7年度租税滞納状況の概要」を公表しました。

 

全体の状況

令和7年度の数字は次のとおりです(地方消費税を除きます)。

 

区分

令和7年度

前年度比

徴収決定済額

89兆7,949億円

+10.6%

新規発生滞納額

9,935億円

+0.1%(+10億円)

整理済額

9,802億円

+3.3%(+315億円)

年度末の滞納残高

9,847億円

+1.4%(+133億円)

申告などにより課税された額のうち約98.9%は滞納となることなく納付されており、滞納発生割合は1.1%と低い水準です。

 

新規発生滞納額はピーク時(平成4(1992)年度・1兆8,903億円)の約5割、滞納残高はピーク時(平成10(1998)年度・2兆8,149億円)の約3割にとどまっています。
もっとも、新規発生滞納額が整理済額を上回った結果、滞納残高は前年度より増加しました。

 

税目別に見ると消費税が約52%

新規発生滞納額を主要税目別に見ると、消費税が突出しています。

税目

新規発生滞納額

前年度比

年度末残高

消費税

5,172億円

97.6%

3,893億円

所得税(計)

2,543億円

108.5%

3,948億円

 うち申告所得税

2,146億円

110.8%

2,845億円

 うち源泉所得税

397億円

97.8%

1,104億円

法人税

1,456億円

89.5%

1,380億円

相続税

152億円

91.5%

120億円

その他

613億円

124.8%

506億円

 

消費税は新規発生滞納額全体の約52%を占めます。
前年度からはわずかに減少しましたが、依然として最大の滞納税目です。
一方で、申告所得税は前年度比110.8%と増加しており、個人事業者の納税資金確保が課題となっている状況がうかがえます。

 

消費税の滞納が多いのは、預かった消費税を運転資金に使ってしまい、納付時期に資金が残っていないというものです。所得や利益が出ていなくても納税義務は生じるため、赤字でも滞納が発生し得る点が他の税目と異なります。

 

滞納となった場合の流れ

(1)電話催告
新規に発生した滞納事案は、まず各国税局の納税コールセンターが担当します。
令和7年7月から令和8年6月末までに約114万8千者へ電話をかけ、完納が72.2%(約82万9千者)、納付誓約中が10.1%(約11万6千者)と、約8割が完納または納付誓約に至っています。

 

(2)AIの活用
国税庁は予測AIと生成AIを滞納整理に導入しています。過去の接触情報や申告書データ等をもとに、滞納者ごとに接触できる可能性の高い方法(電話・来訪・文書)や、電話がつながりやすい曜日・時間帯を予測するモデルを構築し、全国の国税局・税務署で活用しているとしています。
生成AIは滞納者別の整理事績の要約に用いられ、優先着手事案の選定や担当者変更時の引継ぎに使われています。

 

(3)悪質な事案への対応
原告訴訟:令和7年度は172件を提起。滞納法人が代表者に対して行った弁済を詐害行為として取消訴訟を提起した事例が挙げられています。

・第二次納税義務の賦課:帳簿を作成せず証ひょう類を破棄したうえ、法人の金銭を私的に流用していた代表者に賦課した事例

・滞納処分免脱罪による告発:令和7年度は9件・14人(社)。差押えを免れるため預金を現金化して自宅に保管した事例など

・徴収共助:租税条約に基づき、令和7事務年度は日本からの要請22件、外国からの被要請7件

 

いずれも「払えない」ではなく「財産を隠した」と判断された場合の措置です。海外への財産移転も、租税条約のもとでは徴収の対象となり得ます。

 

実務上の留意点

(1)納税資金は事前に分けておく
消費税は預り金的な性格を持つ税金です。売上と一緒に入金された消費税相当額を別口座に移す、あるいは予納ダイレクトを利用して先に納付してしまう方法が有効です。
予納ダイレクトは、将来納付が見込まれる国税を、e-Taxに登録した口座から指定した期日にあらかじめ納付できる制度で、スマートフォンからも手続できます。

 

(2)令和8年10月以降は個人事業者の負担増に注意
インボイス制度の2割特例は、令和8(2026)年9月30日までの日の属する課税期間で終了します(個人事業者は令和9年・令和10年について3割特例へ移行)。
また、免税事業者等からの仕入れに係る経過措置も令和8年10月1日から80%→70%に下がります。納付税額が前年より増える事業者が相当数出る見込みですので、今の段階で試算しておくことをお勧めします。

 

(3)払えないときは早めに相談を
納期限までに納付できない場合、換価の猶予や納税の猶予といった制度があります。
要件を満たせば延滞税の一部免除や差押えの猶予が受けられますが、換価の猶予の申請は原則として納期限から6ヶ月以内という期限があります。放置して督促・差押えに至るより、期限内に手続を行うほうが結果的に負担は小さくなります。

 

(4)キャッシュレス納付の活用
振替納税、ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、スマホアプリ納付が利用できます。

 

参考: 国税庁「令和7年度租税滞納状況の概要」 https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2026/sozei_taino/pdf/sozei_taino.pdf

 

資金繰り、納税の猶予、消費税の納税についてのご相談は、御茶ノ水の大向税務会計事務所までお問い合わせください。

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