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非上場株式(自社株)の相続税評価、大きく変わる見通しに 2026/8/20
日本経済新聞(令和8(2026)年8月19日)朝刊で報じられたとおり、自社の株式(取引相場のない株式)の評価のルールが、およそ62年ぶりに大きく見直されようとしています。
現在の評価方法と問題点
非上場企業の株式には、証券取引所で売買されるような時価がありません。
そこで現在は、会社の規模(大・中・小)に応じて、上場している同業他社の株価を参考にする方法や、会社の財産をもとに計算する方法などを使い分けて評価額を算出しています。
しかし、この仕組みは、会社の規模の見せ方や役員報酬の調整などによって評価額を人為的に引き下げることが可能で、公平性に疑問があるとの指摘がありました。
改正点(3つのポイント)
1.会社の大きさによる区分がなくなります
今は会社の規模によって計算方法が変わり、規模の見せ方次第で評価額が下がることがありました。
新しいルールでは、規模にかかわらず、原則として同じ方法で評価する方向です。
2.「同業他社の株価」ではなく「自社の実力」で評価
現在の主な計算方法(類似業種比準方式)は、上場している同業他社の株価を基準にするものですが、理論的な根拠に乏しいとの指摘があり、廃止の方向です。
代わって、自社の帳簿上の純資産に、ここ数年(5年程度が有力)の利益をもとにした”稼ぐ力”を上乗せして評価額を出す方法(残余利益方式)が中心になる見通しです。
会社の純資産(帳簿上の財産) + 数年分の利益の蓄積 = 株式の評価額
という考え方です。
赤字や利益の少ない会社は、純資産以下の評価にとどまる可能性もあります。
なお、会社を清算した場合を想定する評価方法(純資産価額方式)や、少数株主向けの簡易な評価方法(配当還元方式)は、対象を絞ったうえで特殊なケース向けに残される方向です。
3.行き過ぎた節税策には歯止めがかかります
一時的に役員報酬や退職金を多く払って利益を圧縮し、評価額を下げるといった手法や、複数の会社を使った評価額の圧縮(株主構成の操作により企業価値の約98%もの圧縮が可能となっている例もあると指摘されています)についても、実態に応じて評価し直す方向が示されています。
つまり、非上場株式の評価が一律に上がる(下がる)というわけではなく、会社の収益力次第で、評価額が今より大きく上がる会社と、逆に下がる会社の両方が出てくる見通しです。
いつから変わるのか
今回公表された資料は、あくまで有識者会議における検討の方向性の整理であり、具体的な改正時期や経過措置はまだ決まっていません。
報道では、2026年12月ごろの税制改正大綱で扱われる可能性や、2028年1月以降の適用開始が視野に入っているとも伝えられていますが、いずれも確定した情報ではない点にご留意ください。
今からできる準備
改正の詳細は今後の議論を待つ必要がありますが、これまで一般的に行われてきた自社株評価引下げ策の多くが使えなくなる可能性があります。
事業承継や自社株の生前贈与を検討されている場合は、
★ 現行ルールでの評価額・税額を一度シミュレーションしておく
★ 実行できる期間が限られる可能性を踏まえ、着手時期を早めに検討する
ことをおすすめします。
<参考>
国税庁ホームページ「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」
https://www.nta.go.jp/about/council/kenkyu.htm#nai-hyoka
日本経済新聞
2026年8月19日朝刊ほか関連報道