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個人課税部門の税務調査結果の報道発表資料について

平成28(2016)年10月に東京国税局が公表した「平成27事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」では、 「司法書士、行政書士」が「1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」の第3位にランクインされていました。
国家から資格を付与されて事業を行う士業の「司法書士、行政書士」がこのような不名誉ランキングに名を連ねたことは、驚きでした。
某雑誌の記事では、富裕層課税をしても無駄なので、モラルの低いキャバレー業や情報サービス業や「司法書士や行政書士」などの 悪質な個人事業主に対して臨機応変な調査を行う方が効率的だという論調の記事が掲載されていたので、税理士としてコメントをいたします。
まず、個人課税に対する税務署の調査能力は某雑誌の筆者が思っている以上に高い。
筆者が簡単に言っている「臨機応変な調査」っていうものがなにかは不明ですが、税務調査の現場ではすでにそれ(効率的な調査先の選定)は行われています。
風俗であろうが、デリヘルであろうが、SE派遣業だろうが、 過払金請求ばっかりやっている司法書士だろうが、国内で表にでているビジネスであればかなりの確率で所得補足できます。
税務調査部門のマンパワーの問題もありますが、7年間ビジネスを続けながら調査対象から外れるというのは、かなりの強運が必要だと思います。
つまり、悪質な個人事業主に対しては、ちゃんと加算税付きで国は税収を上げているのです。
某記事では、富裕層の所得はほぼ補足されており、適正に納税しているはずだから、所得捕捉ができていない悪質な司法書士等の個人事業主から課税しろという論調なのですが、 そもそも、所得捕捉ができているから追徴課税できているのです。
一方で、富裕層の所得のうち国外所得については、調査権限が及ばないため、そもそも所得を捕捉することが難しいから、所得捕捉できる体制にして、税収を上げようとしているのです。
課税を強化しても税収が上がらない理由を説明した記事でしたが、浅い内容の筋の悪い記事でした。

 

 

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